ヒートショックとは、温度差により血圧が大きく変動して脳卒中や心筋梗塞などを引き起こすことをいいます。冬の入浴時、とくに高齢者に多くみられ、近年では自宅などの浴槽で溺れて死亡した高齢者の数は、交通事故死の3倍近くという調査結果も出ています。
冬に入浴事故が多発する理由
寒い季節こそ温かいお湯にゆっくり浸かりたいものですが、室内・脱衣所・浴室・浴槽内の温度差がヒートショックの原因といわれています。
暖房のきいた室内から冷えた脱衣所に行って衣服を脱ぎ、寒い浴室に入ると、血管が収縮して血圧が急上昇します。その状態から浴槽に入り、体が温まることによって血管が拡張し、急上昇した血圧は低下していきます。この急激な血圧の変動が脳卒中や心筋梗塞などを引き起こし、そのまま意識を失い、浴槽で溺れて死亡するケースもあります。
ヒートショックによる事故は高齢者に多く、厚生労働省「人口動態統計」によると、65歳以上で溺れて死亡した人は令和4年の1年間で7,900人、そのうちの5,824人が家や居住施設の浴槽で亡くなっており、65歳以上の交通事故死(2,154人)の3倍近くとなっています。高齢者以外にも、血圧が高めの人、めまいや立ちくらみを起こしやすい人も注意が必要です。
ヒートショックを防ぐ対策法
ヒートショックは高齢者や持病のある人に限らず、誰でも起こる可能性があります。入浴時やその前後には、次のことに気をつけましょう。
- 入浴する前に脱衣所や浴室を暖めておく
- 湯温は41℃以下、お湯に浸かる時間は10分以内が目安
- 浴槽から急に立ち上がらない
- 食後すぐや飲酒後、薬を服用後の入浴は避ける
同居する家族がいる場合は、ひと声かけてから入浴するように心がけましょう。高齢者が入浴しているときは、家族は気を配り、異変を感じたら声かけを忘れずに!