正常な出産は病気でないため、健康保険が使えません。代わりに健保組合は、出産育児一時金を支給しています。2023年度から、政府の少子化対策強化の一環として出産育児一時金が42万円から50万円に引き上げられます。出産育児一時金は1994年に創設され、出産費用の増加に伴いたびたび引き上げられてきましたが、8万円の引き上げは過去最大幅となります。
出産育児一時金の対象になる出産とは?
妊娠4カ月以上(13週以上)の出産をいい、早産、死産、流産なども含まれます。なお、帝王切開分娩など、医師による治療行為が発生する場合は健康保険が適用されます。
出産育児一時金の受け取り方法は?
医療機関と代理契約合意文書を交わす「直接支払制度」の利用が一般的です。健保組合が医療機関に出産育児一時金を直接支払いますので、申請の必要はありません。
出産費用はいくらかかる?
正常な出産は健康保険が適用されないため、医療機関によって異なるのが実情です。厚生労働省では、2024年4月を目途に医療機関ごとの出産費用を公表する仕組みをつくる予定です。
出産育児一時金50万円のうち、1.2万円は産科医療補償制度(出産に関連して重度脳性麻痺となった場合に補償金を支給する制度)の掛金です。このため、直接支払制度で出産費用が48.8万円を下回った場合は差額を受け取れます。この場合は健保組合に申請してください。
- ●女性被保険者が出産のために仕事を休み、給料等をもらえなかったときは「出産手当金」が支給されます。出産の日以前42 日(双子以上の場合は98 日)と出産の日後56 日の間、休業1 日につき、標準報酬日額の2/3 相当額が支給されます。
- ●産前産後休業期間中と育児休業期間中は、保険料が免除されます。なお、免除期間中も健康保険は使えます。
- ●2023 年1 月から、妊娠・出生の届出を行った女性に自治体が計10 万円分のクーポンなどを支給する「出産・子育て応援ギフト」がスタートしています。自治体によって名称、内容などが異なりますので、詳細はお住まいの自治体へご確認ください。